ダラダラと毎日を過ごすだけで、何をやっても中途半端な男。そんな彼氏を困らせるため、バカバカしい陰謀を企てる女。弟に歪んだ対抗心をメラメラと燃やし、自らの肉体を鍛えることに執着する寡黙な兄。そして女にいいように振り回されるグダグダな男たち。巨大な工場やコンビナート群に隣接する、都心近郊のある住宅街。女の狂言誘拐をきっかけに、ひとクセもふたクセもある登場人物たちがさまざまな思惑を持って動きはじめる。一見どこにでもいそうな彼らの、次第に暴かれていくフツーじゃない関係。ナンセンスな笑いと空虚感が混じりあった、これまでにない感触。恋愛映画でもコメディーでもシリアスドラマでもない、明日なきヤツらの姿をあるがままに焼きつけた“青春失走ムービー”が誕生した。あてどもなく駆けめぐる彼らがその先に見るものとは…。空回りする運命の行く末は…。かつて誰も観たことのなかった無情の世界が今、幕を開ける。
主演のどこかヌケてる男・ヒデジ役に『リンダ リンダ リンダ』『ビルと動物園』の小林且弥。スクリーンに映える長身を持て余しつつ、ひょうひょうと適当に毎日をやり過ごすイマドキの若者をリアルに演じる。その恋人、アザミ役に『SR サイタマノラッパー』のセクシーアイドル、みひろ。男たちを翻弄する小悪魔的な魅力を存分にふりまく。アザミの計画に巻き込まれる祐一役に『赤目四十八瀧心中未遂』『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』の大西信満。コンプレックスを抱える内向的な男を迫真の演技で体現。また都合よく利用される情けない後輩・田辺役を『パンドラの匣』の杉山彦々が演じるほか、『ラスト サムライ』の菅田俊、『HANA-BI』の大杉漣、『ウォーターボーイズ』の角替和枝といった日本映画界を代表する名優が快演、強烈な存在感を発揮する。
監督は、自主映画ながら劇場公開されたロードムービー『まだ楽園』で脚光を浴び、死刑に立ち会う刑務官の心の揺れを描いた『休暇』では脚本家としても注目を集めた佐向大。商業映画監督デビューとなる本作では、荒唐無稽な物語を乾いたタッチで見事に映像化。秀逸なコメディセンスと高い構成力を発揮し、堂々とした快作をものにした。撮影に『亀虫』『パビリオン山椒魚』など冨永昌敬監督の作品を手がけてきた月永雄太。録音・効果・整音に『人のセックスを笑うな』『パンドラの匣』の高田伸也。また主題歌“EMPTY RUN”を、インディーズで活躍するガレージロック・バンド、ミサイルズが提供している。

邦画ブームと呼ばれて久しいが、大資本主義の中で生まれていく大型作品を横目に、我々のようなインディーズ映画界に身を置くものにいったい何が可能なのか。大型資本を投下しないと良い映画を製作することはできないのだろうか、また、多額の宣伝費を使わないで多くの観客に見てもらうことは不可能なのだろうか。本シリーズは、まだ商業デビューしていない作家監督たちの、まだ見ぬ才能の発掘をサポートし、そのステージを提供することにより、新たな感動を観客に提供できればと思っています。
Crusadersの語源と思われるCruciataはラテン語で十字軍という意味があります。その昔、十字軍が聖地エルサレムを奪回しようとしたように、我々は何を取り戻そうと言うでしょうか?我々にとってのエルサレムとは何なのでしょうか?その問いへの挑戦を始めたいと思っています。